ファクタリングとでんさい(電子記録債権)の違いとは?手数料や審査対象、未回収リスクの責任を解説
目次
CLOSEファクタリングは、支払い期日が訪れる前の売掛債権を買い取ってもらうことで、早期の資金調達が可能なサービスです。類似のサービスとしてでんさい割引が挙げられますが、両者にはいくつかの違いがあります。この記事では、ファクタリングとでんさいの違いについて解説します。
ファクタリングとは
ファクタリングとは、支払期日前の売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらえるサービスです。数ヶ月先の売掛債権を現金化できることから、資金繰りの改善や急な資金需要に対応することが可能です。ファクタリング会社はこの取引の手数料から収益を得ています。
ファクタリングは、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングに分けられます。
2社間ファクタリングとは
2社間ファクタリングとは、売掛金を持つ利用者とファクタリング会社の2社間で直接取引が行われる形態です。
2社間ファクタリングでは、売掛先にファクタリングの事実が知らされることはありません。手続きがシンプルで迅速な資金調達が可能ですが、手数料が高めに設定される傾向があります。
2社間ファクタリングについては、2社間ファクタリングとは?違法性や3社間ファクタリングとの違い、利用するメリットを解説で詳しく解説しています。
3社間ファクタリングとは
3社間ファクタリングとは、売掛金を持つ利用者、ファクタリング会社、そして売掛先の3社が関与する取引形態です。3社間ファクタリングでは、ファクタリングの利用が売掛先に通知され、売掛先がファクタリング会社に直接支払いを行います。
資金調達までの時間は遅くて1週間かかる場合がありますが、手数料は2社間ファクタリングに比べて、低く設定されることが多いです。3社間ファクタリングについては、「3社間ファクタリングとは?具体的な流れやメリット・デメリット、利用がおすすめのケースを解説」で詳しく解説しています。
でんさい(電子記録債権)とは
でんさい(電子記録債権)とは、従来の手形や振込みに関連する問題を解決するために開発された電子決済手段です。2008年12月に施行された電子記録債権法によって導入されました。債権情報をデジタル化することで、オンライン上で債権の譲渡が完了する仕組みです。
でんさい割引とは
でんさい割引は、電子記録債権を金融機関や手形割引業者に譲渡し、支払期日前に資金化する方法です。既存の手形割引に比べて、コストの削減や紛失リスクの低減が可能になります。
ファクタリングとでんさい割引の違い
ファクタリングとでんさいはしばしば混同されますが、いくつかの違いがあります。ファクタリングとでんさい割引の違いについて、以下の表にまとめました。
種類 | ファクタリング | でんさい割引 |
---|---|---|
手数料 | 1%〜20% | 1.5%~5% |
審査対象 | 売掛先 | 利用者、売掛先 |
契約の手間 | その都度契約を結ぶ必要がある | 新しい口座を作る必要がない |
取引先への通知 | 2社間ファクタリング:なし3社間ファクタリング:あり | 通知する必要はないが、電子記録に残る |
未回収リスクの責任 | ファクタリング会社 | 利用者 |
運営機関 | 各ファクタリング会社 | 株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット) |
それぞれの項目について詳しく解説します。
手数料
ファクタリングの手数料は各ファクタリングが独自に決めており、1%〜20%と高めです。一方でんさい割引では、金融機関への割引時に1.5%〜5%程度がかかります。
審査対象
ファクタリングの審査では、売掛先の信用度や債権の質が主に評価され、売掛金を確実に回収できるかどうかが重要視されます。一方で、でんさい割引の場合は、債権の信用力だけでなく、利用者自身の財務状況も審査の対象です。
ファクタリングの審査について詳しく知りたい方は、ファクタリングの審査は甘いのか?審査基準や審査落ちする原因、通過率を上げるためのポイントを解説も参考にしてみてください。
契約の手間
ファクタリングでは、利用するたびにファクタリング会社との間で売掛債権の譲渡契約を結ぶ必要があります。対して、でんさい割引は一度加入してしまえば、新たに口座を開設する必要がありません。割引依頼の手続きも簡単で、迅速な入金が可能です。
取引先への通知
ファクタリングでは、2社間ファクタリングの場合、取引先に通知する必要はありません。でんさい割引は取引先に通知する必要はありませんが、利用が電子記録に残ります。
未回収リスクの責任
ファクタリングでは、基本的にファクタリング会社が未回収リスクを負います。これに対し、でんさい割引の利用で取引先が支払い不能になった際は、利用者が金融機関に対して責任を負う必要があります。
運営機関
ファクタリングはファクタリング会社を通じて行われます。対して、でんさい割引は株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)を介して行われます。でんさいネットは全国銀行協会が設立した機関であり、金融機関が主な窓口です。
ファクタリングを利用するメリット
ファクタリングを利用するメリットを紹介します。
申込から入金までの時間が早い
ファクタリングは、売掛金を現金化するまでのプロセスが迅速です。銀行融資のように長期間を要することなく、申し込みから現金化までが最短即日で資金調達することが可能です。ファクタリングサービスを利用することで、利用者は資金繰りの改善を図れます。
即日で利用できるファクタリングについて詳しくたい方は、即日入金可能なファクタリングサービス5選|メリットや注意点、選び方のポイントを紹介
赤字経営でも利用できる
ファクタリングの審査では、売掛先の信用力が重視されます。規模の大きい売掛先や取引歴の長い売掛先であれば、利用者の財務状況が赤字であっても資金調達が可能です。
未回収リスクがない
未回収リスクがないのも、ファクタリングを利用するメリットです。売掛先が倒産した場合でも、企業はその損失を負担する必要がありません。
ファクタリングを利用する際の注意点
ここでは、ファクタリングを利用する際の注意点を紹介します。
手数料は高い傾向にある
ファクタリングを利用するには手数料がかかります。手数料の相場は契約形態によって異なり、2者間ファクタリングの場合は10%〜20%、3者間ファクタリングの場合は1%〜9%が一般的です。
手数料が高すぎると受け取れる金額は減ってしまいます。ファクタリングの利用を検討するのであれば、手数料が妥当であるかを考慮する必要があります。
手数料が低いファクタリング会社を知りたい方は、ファクタリングにかかる手数料はどれくらい?安く抑える方法や手数料が低めのサービスを紹介もチェックしてみてください。
売掛先との取引に影響を与える可能性がある
2社間ファクタリングの場合は取引先への通知は不要ですが、3社間ファクタリングでは、取引先へ通知・承諾を得る必要があります。
そのため、売掛先が資金調達の事実を知られると、売掛先から「資金繰りが悪いのか?」と見なされ、今後の取引関係に影響を与える可能性があります。
悪徳業者に遭遇する恐れがある
ファクタリングには多くの業者が存在しており、中には不透明な手数料設定や不当な契約条件を提示する悪徳業者も存在します。ファクタリングを利用する際は、業者の選定に十分注意し、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
悪徳業者を判別する方法については、ファクタリングって安全なの?悪徳業者を判別する方法もあわせて解説を参考にしてみてください。
でんさい割引を利用するメリット
でんさい割引を利用するメリットを紹介します。
印紙代がかからない
紙媒体の手形割引では、収入印紙を貼る必要があり、印紙代がかかります。でんさい割引を利用することで取引が電子化されるため、紙の手形や請求書にかかる印紙代がかかりません。紙で保管する必要がなくなるため、オフィスのペーパーレス化も進められます。
紛失・盗難のリスクを防げる
でんさい割引では、紙媒体の手形を電子化してデータ上で管理しているため、紛失・盗難のリスクを防げるのもメリットです。ただし、でんさい取引はデータでの取り扱いとなるため、インターネットのセキュリティを強化する必要があります。
手続きが比較的簡単である
でんさい取引では、売掛先の口座がある金融機関で「でんさいネット」に登録していれば、新規で手続きをする必要がありません。新規の売掛先が増えた場合でも、でんさいネットに事前に登録していれば契約を結び直さず、でんさいを利用することが可能です。
でんさい割引を利用する際の注意点
でんさい割引を利用する際の注意点を紹介します。
審査の難易度は高い傾向にある
でんさい割引は金融機関が審査を行うことから、審査基準は厳しい傾向にあります。売掛債権の信用力だけでなく、利用者の経営状況や財務状態などもチェックされます。そのため、赤字経営や債務超過など自社の経営が良くない場合は、審査に通るのが難しくなるでしょう。
利用者と取引先双方ででんさいネットを利用する必要がある
でんさい割引を行うためには利用者だけでなく、取引先もでんさいネットに登録している必要があります。でんさい割引は、電子記録債権のシステムを通じて取引が行われる取引です。双方が利用していないと、でんさい割引を利用することができません。
手形が不渡りになった場合に弁済する必要がある
万が一手形が不渡りになった場合、利用者は金融機関に対して弁済する責任を負うことになります。そのため、未回収リスクを避けるのであれば、ファクタリングの利用が適しているかもしれません。
ファクタリングとでんさい割引どちらにすべき?選ぶ基準
ファクタリングとでんさい割引どちらを利用するかは、自社の業況や資金調達ニーズによって異なります。ここでは、ファクタリングとでんさい割引を選ぶ際の基準を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
すぐに資金調達したい
すぐに資金調達したい場合は、ファクタリングがおすすめです。ファクタリングは即日の資金調達に対応しており、急な資金繰りに活用できます。
自社の信用情報に不安がある
自社の信用情報に不安がある場合は、ファクタリングがおすすめです。でんさい割引は金融機関が行うため、自社の財務状況や信用情報も審査の対象となります。
一方ファクタリングでは、売掛先の信用度が主に審査されるため、自社の信用情報に不安がある場合でも利用しやすいです。
安全に資金調達を行いたい
安全に資金調達を行いたい場合は、でんさい割引がおすすめです。ファクタリング業者の中には悪徳業者がおり、安全に利用するためには慎重に検討しなければいけません。でんさい割引は金融機関が提供していることから、安心して利用できるでしょう。
手数料を可能な限り抑えたい
手数料を可能な限り抑えたい場合は、でんさい割引が向いています。でんさい割引の手数料は一般的に低く設定されており、売掛債権に近い金額を調達することが可能です。
売掛先に知られることなく資金調達したい
売掛先に知られることなく資金調達したい場合は、ファクタリングが適しています。でんさい割引は電子記録に残るため、取引先に利用が知られてしまう可能性があります。
対して2社間ファクタリングは、売掛先に債権の譲渡を通知する必要がありません。そのため、売掛先との信頼関係に影響を与えたくない場合にもおすすめです。
未回収リスクを避けたい
未回収リスクを避けたい場合は、ファクタリングが適しています。でんさい割引で手形が不渡りになった場合は、利用者が代わりに支払わなければいけません。
対してファクタリングでは、原則としてファクタリング会社が未回収リスクを負います。売掛金が回収できなくなった場合は、利用者が売掛先に代わって支払う必要がありません。
効率よく自社に合ったファクタリングを探すなら「Payなび」
自社に合ったファクタリングを効率よく探したい方は「Payなび」の活用がおすすめです。「Payなび」では、請求書と入出金明細(直近3ヶ月分)の2つを用意するだけで、複数社に一括申し込めます。仮審査に通った会社の中から、手数料や入金スピードなどの条件を見比べて、自社に合ったファクタリングサービスを選ぶことが可能です。
また、ファクタリング会社の登録の際に独自の審査を行い、違法の疑いがある業者は排除しています。優良のファクタリング会社のみと契約できるので安心です。
まとめ
ファクタリングは売掛債権を期日前に現金化するサービス、でんさいはオンライン上で債権を管理・譲渡する方法です。
ファクタリングは、即日入金は可能であり、赤字企業でも利用できます。ただし、手数料が高めです。でんさい割引は手数料を低めであるものの、審査基準が厳しく、でんさいネットに登録する必要があります。双方のメリット・デメリットをしっかり把握して、自社に合った方法を検討しましょう。
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