2023.03.05

支払いが遅れると、売掛金にも「遅延損害金」が発生するってホント?

目次

CLOSE

    そもそも「遅延損害金」とは、どのような場合に発生するのか?

    経理処理上のミスや取引先の資金繰り悪化など、何らかの事情で売掛金の支払いが所定の期日よりも遅れてしまうことがあります。そのような場合、果たして「遅延損害金」は発生するのでしょうか?

    そもそも「遅延損害金」とは、 「金銭債務」に関わってくるものです。債務者が約束の期日までに所定の金額を支払えなかった場合に、その損害を償うために支払われる金銭のことを意味しています。

    「金銭債務」とは、支払手形や買掛金、借入金、債券など、将来に定めた期日までに他者へ所定の現金を引き渡すという契約上の義務です。通常ですと「遅延損害金」は、①売買契約、②金銭消費貸借契約、③賃貸借契約などにおいて定められているものです。

    「遅延損害金」が発生しうる主な3つの契約とはどういった内容のもの?

    「遅延損害金」が発生しうる主な3つの契約について整理しておきましょう。民法の定めによる売買契約とは、売り主が目的物の「財産権」を買い主に移転し、買い主がその代金を支払うという取り決めのことです。

    意外に感じるかもしれませんが、私たちが日常生活で当たり前のように行っている買い物でも売買契約が成立しています。少額の買い物は現金で一括払いのケースが多く、売買契約だと言われてもなかなかピンとこないでしょうが、クレジットカードなどによる後払いやショッピングローンによる分割払いでは、その支払いが遅れると「遅延損害金」が発生します。

    次に金銭消費貸借契約という言葉は、一般的にあまり馴染みがないかもしれません。消費貸借契約は「受け取った物を消費する代わりに、それと同じ種類・品質・数量の物を返すこと」を意味し、返す物を金銭に特定しているのが金銭消費貸借契約です。

    残る賃貸借契約とは、不動産の世界でよく用いられているもの。貸す側は目的物の使用(および目的物から発生した収益の取得)を許可する一方で、借りる側はその賃料を支払うことを約束した取り決めです。

    あらかじめ取り決めがなくても、支払い期日を遅れた売掛金には「遅延損害金」が発生

    一口に売掛金と言っても、どのような内容のビジネスで売上を獲得したのかによって、先述した3つの契約にいずれに該当するのかは異なってくるでしょう。しかしながら、まだ支払い期日が訪れていない売掛金という状態であるなら、どのようなケースにおいても売掛先(モノやサービスを利用した側)は「金銭債務」を負っていることを意味しています。この「金銭債務」に対し、所定の期日までに相応の金額を支払わない場合には、「遅延損害金」が発生します。

    つまり、決済日を過ぎても売掛金が送金されないケースにおいても、「遅延損害金」が発生し、本来なら売掛先はその分を加算した金額を支払わなければならないのです。

    先程は売掛先の立場から「金銭債務」と表現しましたが、モノやサービスを提供した側から言えば、売掛金は「売掛債権」と呼ばれる債権の一種です。債権には支払いの期限が定められており、あらかじめ具体的な取り決めが行われていなかったとしても、期日が守られなければ、債権者には遅延損害金を請求する権利があります。

    厳密に言えば、「遅延損害金」は「遅延利息」とは異なるもの

    所定の期日に入金されないと、「売掛債権」を保有している側は売上を回収に関する目論見が狂い、で資金繰りに支障をきたす恐れが生じます。つまり、そういった迷惑行為に対する罰金のような位置づけであるのが「遅延損害金」です。

    「遅延損害金」は「遅延利息」と呼ばれることもありますが、厳密に言えば、利息とは異なるものだと位置づけられます。利息とは、金銭を貸し付けたことの対価として支払われる金銭のことを指しています。

    つまり、金銭の貸し付けに対して発生するものであって、売買代金や請負代金、賃貸料などに対して利息は関わってきません。唯一、金銭消費貸借契約において発生した「遅延損害金」については「延滞利息」とみなすことができます。

    売掛金の支払いが期日に間に合わなかった場合の「遅延損害金」は、契約時に法律上の制限にかからない範囲内で自由に定められます。先に述べたように、契約時にで「遅延損害金」について取り決めていなかった場合も請求が可能で、そのケースでは法定利息を適用することになります。

    2020年4月1日の民法改正以降、法定利率は年利3%となっています。なお、その利率は3年毎に見直される変動性となっているので、その都度確認しましょう。

    不払いが1年以上に及ぶと、より多くの「遅延損害金」を請求できるが…

    「遅延損害金」が発生しているにもかかわらず、それでもなかなか支払いに応じてくれないケースも考えられます。発生から1年が経過した場合は、「遅延損害金」の分を元本に組み入れたうえで、その合計額に法定利率を乗じた「遅延損害金」を請求できます。

    もっとも、1年以上も支払いが滞っているのは、売掛先の資金繰りが非常に厳しい情勢で、まさに「無い袖は振れない」というパターンなのかもしれません。法的には「遅延損害金」を請求可能であっても、貸し倒れ(売掛金回収不能)となるリスクが高まっていると考えたほうが無難かもしれません。

    まとめ:現実には、取引先との関係性を考慮して「遅延損害金」を請求しづらいかも?

    売掛先の支払いが遅れた場合、あらかじめ約束を交わしていなくても「売掛債権」の所有者が「遅延損害金」を請求することは法的に認められています。ただ、一度限りの取引でない限りは、なかなか請求しづらいのが現実かもしれません。

    一方、なかなか支払いに応じてくれない不誠実な取引先に対しては遠慮なく請求できそうですが、払いたくないのではなく、払えない何らかの事情を抱えていて、貸し倒れとなる可能性が高いとも受け止められます。不特定多数に販売するビジネスでない限り、商品やサービスを提供する側もそれらを購入する側の信用力をチェックしておきたいところでしょう。

    この記事を書いた人

    Payなび運営チーム

    安心・安全にファクタリングを活用するためのノウハウや実践的な情報を提供しています。ビジネスの成功と成長のための最適なサポートをご提供いたします。
    ファクタリング一括申請サービス「Payなび」

    オンラインで、1度に複数のファクタリング会社に審査の申込みを行い、手数料などの条件を見て自分に合ったファクタリング会社を選べる新しいサービスです。
    請求書(売掛金)を即日買取可能な業者多数登録!フリーランス(個人事業主)の方から中小企業様まで幅広く対応可能です。

    登録がまだ
    お済みでない方はこちら
    コラム一覧に戻る