ファクタリングの仕訳方法 | 種類別の会計処理や勘定科目についてわかりやすく解説
目次
CLOSEファクタリングは資金繰り改善や未回収リスクの防止に役立つサービスです。しかし、比較的新しい資金調達方法であることから、ファクタリングの仕訳や勘定科目がわからない人もいるのではないでしょうか。
この記事では、ファクタリングの仕訳例や勘定科目、会計処理を行う際の注意点について解説するので、ぜひ参考にしてください。
ファクタリングの種類によって会計処理が異なる
ファクタリングには大きく、買取型ファクタリングと保証型ファクタリングに分けられ、会計処理が異なります。
買取型ファクタリング
買取型ファクタリングは、売掛金をファクタリング会社に売却して資金調達する方法です。ファクタリング会社が独自で提示している手数料を差し引いた金額を受け取れます。売掛金の支払い期日前に代金を回収でき、迅速な資金調達が可能です。
また、買取型ファクタリングは、取引に売掛先が加わるかどうかで、「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」に分けられます。
保証型ファクタリング
保証型ファクタリングは、売掛金が回収不能になるリスクをファクタリング会社が保証するサービスです。取引先の倒産などで売掛金を回収できなかった場合、ファクタリング会社が利用者に保証金を支払います。
売掛債権の現金化に時間がかかることが多く、資金調達には向いていませんが、貸倒れリスクを軽減できる点がメリットです。
⇒ファクタリングの種類と仕組み|利用する前に知っておくべき注意点も解説
買取型ファクタリングの仕訳例
ここでは、売掛金100万円、手数料が10%(10万円)かかる場合の買取型ファクタリングの仕訳例を紹介します。
なお、3社間ファクタリングでは、ファクタリング会社が売掛先から直接回収することから、2社間ファクタリングにおける「取引先から売掛金の入金があった際」と「ファクタリング会社に送金した際」の会計処理が発生しません。
売掛金が発生した際の仕訳
売掛金が発生した場合は、通常の会計処理通り、売掛金と売上の仕訳を行います。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
売掛金 | 100万円 | 売上 | 100万円 |
ファクタリング契約をした際の仕訳
ファクタリング契約をした際はまだ資金を受け取っていないため、未収入金として計上します。未収入金は、固定資産など商品・サービス以外のものを売却した際の資金に使われる勘定科目です。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
未収入金 | 100万円 | 売掛金 | 100万円 |
ファクタリング会社から入金された際の仕訳
契約した後、ファクタリング会社から譲渡代金が入金されたら、この段階で会計処理を行います。ファクタリングを利用する際にかかる手数料は、売掛金を売却することで発生した損失であるため、売上債権売却損として計上します。
借方 | 貸方 | ||
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普通預金 | 90万円 | 未収入金 | 100万円 |
売上債権売却損 | 10万円 |
取引先から売掛金の入金があった際の仕訳
2社間ファクタリングでは、期日通りに取引先から売掛金の支払いが行われます。売掛金の入金が確認できたら、普通預金を借方に、売掛金を貸方に記入して会計処理します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
普通預金 | 100万円 | 預り金 | 100万円 |
ファクタリング会社に送金した際の仕訳
売掛金が入金されたら、契約に従い、ファクタリング会社に送金します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
預り金 | 100万円 | 普通預金 | 100万円 |
保証型ファクタリングの仕訳例
ここでは、売掛金100万円、保証料が2%(2万円)で利用した場合の保証型ファクタリングの仕訳について解説します。
売掛金が発生した際の仕訳
買取型ファクタリングと同様、売掛金が発生した際の仕訳を行います。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
売掛金 | 100万円 | 売上 | 100万円 |
売掛金が入金された際の仕訳
売掛金が取引先から入金された場合は、保証料のみを支払うだけになります。
借方 | 貸方 | ||
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支払手数料 | 2万円 | 普通預金 | 2万円 |
売掛金が入金されなかった際の仕訳
支払期日になっても取引先から入金がない場合は、売掛債権を回収できないため、貸し倒れになったときの仕訳をします。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
貸倒損失 | 100万円 | 売掛債権 | 100万円 |
ファクタリング会社から保証金を受け取った際の仕訳
売掛債権の回収ができないと判断された場合は、ファクタリング会社から売掛金分の金額が支払われます。
借方 | 貸方 | ||
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普通預金 | 100万円 | 雑収入 | 100万円 |
ファクタリングの仕訳を行う際の3つの注意点
ここでは、ファクタリングの仕訳を行う際の3つの注意点を紹介します。
ファクタリングでは消費税がかからない
ファクタリングでは消費税がかかりません。通常、商品やサービスの提供には消費税がかかります。しかしファクタリングにおける売掛債権譲渡は、非課税取引として認められているため、消費税がかからないのです。
そのため、ファクタリング会社は、手数料に消費税を加えて請求することはできません。ファクタリング会社から消費税を含む請求が来た場合は、悪徳業者の疑いがあるため、注意しましょう。
手数料の勘定科目は売上債権売却損で処理する
ファクタリングの手数料は、売掛債権の売却に伴うコストとして発生するため、会計上は売上債権売却損という勘定科目で処理します。
なお、手数料が大きいほど受け取れる金額が減ってしまいます。手数料が低めのファクタリングのサービスについては以下の記事を参考にしてみてください。
⇒ファクタリングにかかる手数料はどれくらい?安く抑える方法や手数料が低めのサービスを紹介
入金までに決算期末をまたぐ場合は注意する
ファクタリング取引において、入金が決算期末をまたぐ場合の仕訳には注意が必要です。法人税や消費税はすでに計上した売上をもとに算出される仕組みです。そのため、ファクタリング会社から入金されていなくても、売上に対して税金がかかります。
まとめ
ファクタリングは、売掛金を売却する買取型ファクタリングと売掛金を保証する保証型ファクタリングがあります。どちらのタイプも、売掛金の発生やファクタリング契約の締結、売掛金の譲渡代金の入金など、各段階で適切な仕訳が必要です。仕訳の注意点にも気をつけながら、会計処理を行いましょう。
なお、ファクタリングは即日利用にも対応しており、急な資金繰りに役立ちます。「Payなび」は、一度の申し込みで複数社に一括申請できるサービスです。手数料や入金スピードなどの条件を見て、自社に適切なファクタリングサービスを選べます。