投稿日:2023.12.04 最終更新日:2024.07.10

ファクタリングで求められる債権譲渡登記とは?登記の目的やメリット・デメリット、申請手順をわかりやすく解説

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    ファクタリングを利用する際に、債権譲渡登記を求められるケースがあります。ファクタリング業者側からすれば、債権譲渡登記はリスク管理上重要な手続きですが、利用者にとっては負担となる場合もあります。債権譲渡登記を行う際は、その必要性や影響を理解しておくことが大切です。

    そこで本記事では、債権譲渡の概要を紹介した上で、債権譲渡登記を行う目的やメリット、注意点などについて解説していきます。債権譲渡登記について詳しく知りたい方、ファクタリングを利用予定の方はぜひ最後までご覧ください。

    債権譲渡とは?ファクタリングとの違い

    債権譲渡とは、ある企業が他の企業から金銭を受け取る権利を、別の企業に譲ることです。例えば、商品を売った後に代金を受け取る権利(売掛債権)を、他の会社に譲渡することなどが挙げられます。

    一方で、ファクタリングは債権譲渡の一種です。売掛債権をファクタリング会社に売却することで、資金を得ます。ファクタリングにより、企業はすぐに現金を手にすることができます。その後、ファクタリング会社が売掛金を回収する仕組みです。

    債権譲渡登記とは

    債権譲渡登記とは、債権の譲渡が正式に行われたことを公的に記録するための手続きです。債権譲渡登記は、債権譲渡を行った企業が自ら進める必要があります。

    口頭や契約書だけでは、この譲渡は他の企業や第三者に認められません。そのため、ファクタリングには債権譲渡登記が必要になるケースがあります。特に、2社間ファクタリングの場合、未回収リスクを防ぐために債権譲渡登記が求められます。

    ファクタリング契約で債権譲渡登記が行われる目的

    ファクタリングの取引において、なぜ債権譲渡登記を行う必要があるのでしょうか。ここでは登記を行う目的を解説します。

    売掛債権の二重譲渡を防ぐため

    1つ目は売掛債権の二重譲渡を防ぐためです。ファクタリングでは売掛金という目に見えない資産を扱います。登記不要のまま取引を進めてしまうと、売掛債権の所有権が誰にあるかが法的に不明確な状態になります。

    そのため、悪意のある企業が同じ売掛債権を複数のファクタリング会社に売却する「二重譲渡」を行う可能性があるのです。二重譲渡が発生した場合、ファクタリング会社は売掛金を回収できなくなり、損失を被ることになりかねません。

    多くのファクタリング会社は、こういったリスクの観点から、債権譲渡登記を求めているのです。登記をしておくことで、売掛債権の所有権が法的に明確になり、二重譲渡のリスクを大幅に減らすことができます。

    ただし、すべてのファクタリング取引において債権譲渡登記が必須というわけではありません。例えば、3社間ファクタリングの場合、売掛先の承諾を得ることで債権譲渡が明確になるため、登記は不要となります。

    3社間ファクタリングについて詳しく知りたい方は、3社間ファクタリングとは?具体的な流れやメリット・デメリット、利用がおすすめのケースを解説もチェックしてみてください。

    第三者に対しての対抗要件に備えるため

    2つ目は、第三者に対しての対抗要件に備えるためです。債権譲渡登記をしておくことで、ファクタリング会社が売掛債権を譲り受けた法的根拠として提示できるようになります。

    これにより、万が一債務者が倒産した場合や他の債権者が債権を差し押さえた場合などに、ファクタリング会社が優先的に債権を回収することが可能です。

    なお民法では、債権譲渡の対抗要件として、確定日付のある証書による通知または承諾が必要とされています。しかし、債権譲渡登記をしておくことで、これらの手続きを省略できます。

    ファクタリングの債権譲渡登記を行うメリット

    続いて、ファクタリングの債権譲渡登記を行うメリットを解説していきます。

    売掛先に知られることなく利用できる

    1つ目のメリットは、売掛先に知られることなく利用できる点です。従来の方法では、債権譲渡の通知や承諾が必要でしたが、登記を行えば、売掛先の関与なしに資金調達ができます。

    また、債権譲渡登記の情報は法務局で確認可能ですが、この情報を閲覧するには手数料が必要です。

    そのため、売掛先が登記情報を確認する可能性は低いです。これにより、企業はファクタリングの取引を売掛先に知られずに実施できます。

    スピーディーな資金調達が可能になる

    債権譲渡登記をしておくことで、ファクタリング会社は債権の譲渡をスムーズに受け入れることができます。登記によって、債権の所有権が明確になるため、ファクタリング会社としても安心して取引を進められるからです。

    その結果、審査がスピーディーになり、利用者は迅速に資金を調達することが可能になります。同様の理由で、手数料も低く抑えられる可能性もあります。

    ファクタリングの債権譲渡登記を行うデメリット

    ファクタリングの債権譲渡登記にはメリットがある反面、注意点も存在します。ここでは代表的な注意点を3つご紹介します。

    登記費用を負担する必要がある

    1つ目の注意点は、登記費用を負担する必要がある点です。債権譲渡登記には、登録免許税と司法書士への報酬が必要となります。

    登録免許税は債権の個数によって異なり、1件につき7,500円から15,000円程度、司法書士への報酬は数万円から10万円程度が相場です。ファクタリングを利用する際は、登記費用も考慮に入れて、資金調達の計画を立てる必要があるでしょう。

    ファクタリングの利用が知られれるリスクがある

    債権譲渡登記は公的な記録として残るため、売掛先や他の第三者が確認すれば、ファクタリングを利用したことが分かってしまいます。業績不振がゆえに、ファクタリングを利用していると疑われることもあるでしょう。

    また、2社間ファクタリングは通常利用が知られない取引ですが、債権譲渡登記をすることで知られる可能性が高まります。実際に登記を確認されるリスクは低いものの、留意しておく必要があるでしょう。

    債権譲渡登記は法人しか行えない

    債権譲渡登記は、法人格がある企業のみが行う登記です。個人事業主やフリーランスはこの登記を行えないため、債権譲渡登記なしで取引が可能なファクタリング会社を選ぶ必要があります​​。

    個人事業主がファクタリングを利用する際は、この点に十分注意しましょう。

    債権譲渡登記の申請方法・必要書類・費用

    最後に、債権譲渡登記の申請方法や必要書類、登記にかかる費用について解説していきます。

    債権譲渡登記の申請方法

    債権譲渡登記は、東京法務局の債権登録課でのみ申請が可能です。申請方法としては、出頭、郵送、オンラインの3種類があります。

    通常、ファクタリングを利用する企業は、ファクタリング会社に代わって司法書士がこの手続きを担当します。登記が完了した後、ファクタリング契約が締結され、その後売掛債権の買取代金が入金されるのが一般的です​​。

    債権譲渡登記の必要書類

    登記を行うためには、主に以下の書類が必要になります。

    • 債権譲渡登記申請書
    • 代理権限証書(手続きを委任する場合)
    • 取下書
    • 申請データを記録した磁気ディスク
    • 譲渡人である法人の代表者の資格証明書
    • 譲渡人の印鑑証明書
    • 法人代表者の資格証明書(譲受人が法人の場合)

    必要な書類は個々のケースによって変わるため、担当の司法書士に確認しましょう。

    債権譲渡登記にかかる費用

    債権譲渡登記には、登録免許税と司法書士への報酬がかかります。登録免許税は1件あたり約7,500円から1万5千円程度、司法書士への報酬は数万円から10万円程度が相場です。

    また、ファクタリング契約が終了した後は登記を抹消する必要があり、これには1件あたり1,000円の登録免許税がかかります。これらの費用はファクタリング利用者が負担しなければなりません。

    まとめ

    今回は、債権譲渡の概要と債権譲渡登記を行う目的やメリットについて解説しました。ファクタリングを利用する上では、債権譲渡の概要を理解して事前に登記を行う必要があります。また、債権譲渡登記は法人のみが行える登記のため、個人事業主や登記を懸念する法人は、債権譲渡登記が不要のファクタリングを選びましょう。Payなびでは、条件の異なる複数のファクタリングサービスに無料で一括申し込みできるサービスを提供しています。ファクタリングの利用を検討している方は、ぜひPayなびを利用してみてください。

    この記事を書いた人

    Payなび運営チーム

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