投稿日:2024.10.29 最終更新日:2024.10.29

法人が支払う税金 | 種類や税率、計算方法を解説

目次

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    法人経営者にとって避けては通れない税金の問題。種類が多く、計算方法も複雑で頭を悩ませている方も少なくないでしょう。

    この記事では、法人が支払うべき主な税金の種類や税率、計算方法を解説します。税務の基礎知識を身につけたい経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

    法人が支払う税金の種類

    法人が支払う税金には、様々な種類があります。各税金の特徴を見ていきましょう。

    法人税

    法人税は、法人の課税所得に対して課される国税です。課税所得は売上から必要経費を差し引いた金額で計算されます。

    税率は法人の規模によって異なり、資本金1億円以下の中小法人の場合、課税所得800万円以下の部分には15%、800万円を超える部分には23.2%が適用されます。計算式は次の通りです。

    法人税額 = 課税所得 × 法人税率

    例えば、課税所得が2,000万円の場合、以下のように計算します。

    800万円 × 15% + 1,200万円 × 23.20% = 120万円 + 278万4,000円 = 398万4,000円

    法人税の確定申告は、事業年度終了日から2ヶ月以内に行いましょう。

    参照:No.5759 法人税の税率|国税庁

    法人住民税

    法人住民税は、法人が事業所を置く都道府県や市町村に納める地方税です。法人税割と均等割の2つの要素から成り立っています。均等割は資本金や従業員数に基づいて定額で課税され、法人税割は法人税額を基に計算されます。

    例えば、東京都の場合、均等割は資本金や従業員数によって7万円から380万円の範囲で決定されます。法人税割の税率は、23区内で事業を行う場合、標準税率で7.0%(超過税率で10.4%)です。

    なお、赤字決算の場合でも均等割の最低7万円は支払わなければいけません。法人住民税の申告・納付期限は法人税と同じく、事業年度終了日から2ヶ月以内です。

    参照:都民税均等割の税率表 – 東京都主税局

    法人事業税

    法人事業税は、法人が事業を行う都道府県に納める地方税です。公共サービスや行政サービスの維持にかかる経費の一部を負担する目的で課されます。

    各事業年度の所得金額や法人の規模、業種によって異なります。そのため、赤字の場合、原則として課税されません。

    ただし資本金1億円超の法人は、所得がなくても課税される場合があります(外形標準課税)。納付期限は事業年度終了日から2ヶ月以内です。

    特別法人事業税

    特別法人事業税は2019年10月1日以降に開始する事業年度から導入された国税です。地方の税収格差を是正するために設けられました。

    特別法人事業税は、法人事業税額を課税標準として計算されます。税率は法人の規模や事業の種類によって異なり、例えば資本金1億円以下の普通法人の場合は37%です。計算式は次の通りです。

    特別法人事業税額 = 法人事業税額 × 特別法人事業税率

    消費税及び地方消費税

    消費税は、商品やサービスの販売、提供に対してかかる間接税です。税率は10%(うち2.2%が地方消費税)です。課税売上高が1,000万円を超える法人は、原則として課税事業者となります。

    計算方法には「原則課税方式」と「簡易課税方式」があり、計算方法は以下のとおりです。

    ●原則課税方式

    納付すべき消費税額 = (課税売上高 × 10%)-(課税仕入高 × 10%)

    ●簡易課税方式

    納付すべき消費税額 = (課税売上高 × 10%)-(課税仕入高 × みなし仕入率 × 10%)

    みなし仕入率とは、業種ごとに定められた仕入率のことで、業種ごとのみなし仕入率以下のようになっています。

    • 第一種事業(卸売業):90%
    • 第二種事業(小売業):80%
    • 第三種事業(製造業等):70%
    • 第四種事業(その他):60%
    • 第五種事業(サービス業等):50%
    • 第六種事業(不動産業):40%

    みなし仕入率を利用できるのは、課税売上高5,000万円以下の事業者です。申告は原則として事業年度終了日から2ヶ月以内です。

    源泉所得税

    源泉所得税は、従業員の給与や報酬から天引きして納める所得税です。所得税は所得者本人が申告・納付するのが原則ですが、源泉所得税では雇用主が従業員の代わりに納めます。

    納付は原則として毎月行います。ただし従業員数が常時10人未満の場合は、半年ごとの納付(納期の特例)を申請することが可能です。具体的には、1月から6月分を7月10日まで、7月から12月分を翌年1月20日までに納付します。

    確定申告は必要ありませんが、年末調整を行う必要があります。

    住民税(特別徴収)

    法人が従業員から徴収する個人住民税のことです。従業員の前年の所得に基づいて市区町村が税額を決定し、法人に通知します。法人は、毎月の給与から12分の1ずつ天引きし、翌月10日までに市区町村に納付します。

    その他の税金

    上記以外にも、法人が支払う税金には様々なものがあります。

    • 固定資産税:土地や建物、償却資産に対してかかる地方税です。毎年1月1日時点の所有者に課税され、5月、7月、12月、2月の年4回に分けて納付します。
    • 自動車税:自動車の所有に対してかかる税金です。毎年4月1日時点の所有者に課税され、通常5月に納付します。軽自動車の場合は軽自動車税として別途課税されます。
    • 印紙税:契約書や領収書などの文書作成時に課される国税です。文書の内容や金額に応じて税額が決まり、収入印紙を貼付することで納付します。

    これらの税金は、事業の規模や内容によって課税されるかどうかが変わってきます。自社の状況に応じて、適切に対応することが重要です。

    税金の納税遅延・申告漏れによる罰則

    法人税をはじめとする税金の納付や申告を怠ると、様々な罰則が科せられます。主な罰則を見ていきましょう。

    延滞税が発生する

    納付期限を過ぎて税金を納めると、延滞税が課されます。延滞税の利率は、納付期限の翌日から2ヶ月以内の期間は年7.3%、または延滞税特例基準割合+1%のいずれか低い方です。

    また、2ヶ月を超えると年14.6%、または延滞税特例基準割合+7.3%のいずれか低い方になります。なお、延滞税の計算式は以下のように求めます。

    ●納期限の翌日から2ヶ月(60日間)まで

    延滞金額 = 納付額 × 年利率(7.3%または特例基準割合+1%の低い方) × 60日 ÷ 365日

    ●納期限の翌日から2ヶ月以降

    延滞金額 = 納付額 × 年利率(14.6%または特例基準割合+7.3%の低い方) × 延滞日数 ÷ 365日

    100万円の税金を3ヶ月(90日)遅れて納付した場合の計算例を見てみましょう。2ヶ月以内の税率は年7.3%、2ヶ月以降の税率は年14.6%とします。

    ●納期限の翌日から2ヶ月(60日間)まで

    100万円 × 7.3% × 60日 ÷ 365日 = 約12,000円

    ●納期限の翌日から2ヶ月以降(30日間)

    100万円 × 14.6% × 30日 ÷ 365日 = 約12,000円

    100万円の税金を3ヶ月遅れて納付した場合、合計で約24,000円の延滞税が発生します。忘れないよう早めの納付が必要です。

    参照:延滞税の計算方法|国税庁

    加算税が発生する

    申告漏れや過少申告があった場合は、加算税が課されます。加算税には以下の種類があります。

    無申告加算税確定申告を期限内に行わなかった場合、納付すべき税額の15%、50万円を超える部分は20%が課税される。ただし、自主的に納付した場合は5%に軽減される。
    過少申告加算税申告額が実際よりも少なかった場合、追加で発生した税額の10%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い方を超える部分は15%が課税される。
    重加算税意図的な隠蔽や仮装があった場合、過少申告の場合は35%、無申告の場合は40%が課税される。

    例えば、100万円の申告漏れがあった場合、10万円の加算税が課されることになります。正確な申告を心がけ、不明な部分は専門家に相談しましょう。

    青色申告の適用が無効になる

    青色申告とは、確定申告の方法の一つです。特定の帳簿を用意して記帳し、その記録に基づいて申告を行います。最大65万円の所得控除や家族への給与を経費として計上できるなどのメリットがあります。

    青色申告の承認が取り消されると、これらの特典が受けられなくなり、税負担が増える可能性があります。帳簿はしっかりと管理し、期限内に申告しましょう。

    財産が差し押さえられる

    税金の滞納が続くと、最終的には財産の差し押さえが行われる可能性があります。一度の滞納で差し押さえられることはありません。

    しかし、督促状を何度も無視していると、税務署や市区町村役場が裁判所を介さずに直接差し押さえを実施する場合があります。差し押さえの対象となるのは、以下のとおりです。

    • 不動産(土地、建物など)
    • 動産(車両、機械設備など)
    • 預貯金
    • 売掛金
    • 給与

    差し押さえられた財産は公売にかけられ、その代金が滞納税金に充てられます。財産は企業が経営していくうえで、必要不可欠なものです。差し押さえられると事業の継続が難しくなり、事実上の倒産も避けられません。

    法人の税金で注意したい点

    ここでは、法人の税金に関して注意すべき点について解説しています。

    利益の増加に伴い税金が予想以上に高くなる

    会社の業績が好調で利益が増えれば、当然それに伴って納付すべき税負担も大きくなります。思った以上に利益が出てしまい、期日までに税金が支払えない事態に陥ることもあるでしょう。

    支払えないと延滞税や加算税が発生し、さらに負担が重くのしかかります。青色申告をする、経費にできる必要なものはすべて計上するなど、利益が出過ぎた場合に備えて節税対策を準備しておくことが大切です。

    また、税金が支払えない場合も放置せず、速やかに税務署に相談し、納税猶予や換価猶予などを利用できないかを確認しましょう。

    消費税の還付を受けるには所定の手続きが必要である

    消費税の還付を受けるためには、まず消費税の課税事業者になる必要があります。

    創業したばかりの会社などで、消費税免税事業者を選択している場合は、たとえ仕入れにかかる消費税が売上にかかる消費税を上回っていても、還付を受けることはできません。

    課税事業者になるには、原則として事業年度開始前に「消費税課税事業者選択届出書」を提出する必要があります。ただし、一度課税事業者を選択すると、2年間は継続しなければならない点に注意が必要です。

    早い段階から節税対策を考えるようにする

    節税対策は、決算期直前に慌てて行うのではなく、早い段階から計画的に実施することが重要です。何を経費として計上できるのかを判断するためには、自社の財務状況をしっかり把握する必要があります。

    経費として利用できるものはしっかり計上し、より多くの資金を手元に残しましょう。

    法人の税金の納付方法

    法人の税金納付には、現金納付から電子納付まで、様々な方法があります。主な納付方法を以下で紹介します。

    窓口での現金納付

    所轄の税務署や金融機関の窓口で現金を直接支払う方法です。納付書を持参し、窓口で現金と一緒に提出することで納付が完了します。

    メリット

    • 手数料がかからない
    • その場で領収書が発行される
    • 現金以外にも小切手や証券での支払いが可能

    デメリット

    • 窓口の営業時間内に出向く必要がある
    • 混雑時には待ち時間が発生する
    • 大金を持ち歩くリスクがある

    コンビニ納付

    納付する税金が30万円以下であれば、全国のコンビニエンスストアで納付が可能です。納付書のバーコードを読み取ることで手軽に手続きができます。

    メリット

    • 24時間365日納付が可能
    • 近くのコンビニで手続きができる
    • 手数料がかからない

    デメリット

    • 30万円を超える納付はできない
    • 領収証書は発行されず、払込金受領証が発行される
    • 一部の税金では利用できないケースがある

    口座振替納付

    口座振替納付は、事前に登録した銀行口座から自動的に引き落とされる方法です。

    メリット

    • 納期限ごとに税務署に出向く必要がない
    • 納付忘れのリスクが減少する
    • 手数料がかからない

    デメリット

    • 引き落とし日に口座残高が不足すると引き落としができない
    • 申込から利用開始までに時間がかかる場合がある

    クレジットカード納付

    国税庁のウェブサイト「国税クレジットカードお支払サイト」を通じて、クレジットカードで納付する方法です。

    メリット

    • 24時間365日いつでも納付できる
    • ポイントやマイルが貯まる

    デメリット

    • 決済手数料がかかる
    • 高額納付の場合は手数料も高額になる
    • クレジットカードの利用限度額を超える納付はできない

    ダイレクト納付

    ダイレクト納付は、事前に登録した金融機関口座から、e-Taxを利用して納付できる電子納付サービスです。

    メリット

    • 納付日を指定できる
    • 即時または期日指定の納付が選択可能
    • 納付までの状況をe-Taxで確認できる

    デメリット

    • 事前に届出書の提出と金融機関での手続きが必要
    • e-Taxの利用環境が必要

    インターネットバンキング納付

    インターネットバンキングを利用して、パソコンやスマートフォンから24時間365日納付できる方法です。

    メリット

    • 金融機関や税務署の窓口に行く必要がない
    • 手数料がかからない場合が多い

    デメリット

    • インターネットバンキングの契約が必要
    • 金融機関によってサービス内容や利用可能時間が異なる場合がある

    スマートフォン納付

    スマートフォン専用アプリ(PayPay、LINE Payなど)を使用して納付する方法です。

    メリット

    • QRコードを読み取ることで簡単に納付手続きができる
    • 24時間スマートフォンがあればどこでも利用可能

    デメリット

    • 30万円以下の納付に限られる
    • 利用できる金融機関や税金の種類が限られている場合がある
    • スマートフォンの操作に不慣れな方には難しい場合もある

    ファクタリングは消費税がかからない資金調達方法

    「予想以上に利益が出ているが、税金を支払うほどの資金が手元に残っていない」

    「売掛債権の支払いまで数ヶ月ある」

    そんな状況においてファクタリングは効果的な解決策になります。ファクタリングは、ファクタリング会社に保有する売掛債権を期日前に現金化できるサービスです。最短即日で利用できるサービスもあり、急な資金繰りにも安心して対応できます。

    また通常の売上では消費税が発生しますが、ファクタリングは債権の譲渡とみなされるため、消費税の課税対象外です。

    さらに、Payなびなら、複数のファクタリング会社に一括で申し込みができ、最適な条件を比較検討できます。より効率的に資金調達が可能です。

    法人の税金に関するQ&A

    ここでは、法人の税金に関する質問に回答します。

    税金を滞納し続けるとどうなる?

    税金の滞納を続けると、段階的に厳しい措置が取られます。まず、納付期限を過ぎると督促状が送られ、延滞税が課されます。

    それでも納付しない場合、財産の差し押さえが行われる可能性があるため注意が必要です。財産が差し押さえられると、事業継続が困難になり、倒産に至ることもあるでしょう。

    税金が払えそうにない場合はどうしたらいい?

    税金の支払いが困難な場合、まず税務署に相談しましょう。放置せずに早めに相談することで、様々な救済措置を利用できる可能性があります。

    例えば、納税の猶予制度を利用して、最長1年間の納付期限の延長を申請できます。一時的に支払いが難しい場合は、換価の猶予制度を利用して、財産の差し押さえや売却を一定期間猶予してもらうことも可能です。

    法人の税金はしっかり納めよう!

    法人の税金は種類が多く複雑ですが、適切に納税することは企業の社会的責任の一つです。自社の状況をよく把握し、必要に応じて税理士などの専門家に相談しながら、確実に納税しましょう。

    この記事を書いた人

    Payなび運営チーム

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