投稿日:2023.01.25 最終更新日:2023.12.21

経済産業省がファクタリングを推奨する理由とは?

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    ファクタリングは、売掛債権を売却することで、支払期日前に現金を調達できるサービスです。経済産業省では、中小企業や個人事業主が資金繰り改善のために、ファクタリングをはじめとした売掛債権の利用を促進しています。

    この記事では、経済産業省がファクタリングを推奨する理由や売掛債権に関する法改正について解説します。

    経済産業省が推奨しているファクタリングとは

    ファクタリングとは、期日前の売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで資金調達する方法です。経済産業省では、売掛債権の利用を促進しており、ホームページ上では、以下のような記載で売掛債権の利用を事業者に呼びかけています。

    「売掛債権の利用について、売掛先(取引先)等から資金繰りが厳しいのかと言われ、利用により風評被害が発生することが心配、との声が聞かれます。売掛債権の利用促進は国の施策です。本制度の普及、利用促進にご協力下さい」

    出典:売掛債権の利用促進について|経済産業省中小企業庁

    経済産業省によるファクタリング推奨の背景

    経済産業省によるファクタリングを推奨する背景には、中小企業や個人事業主の資金調達方法が融資に依存していることが挙げられます。

    社債の発行や増資(新規の株式発行)など、大企業には様々な資金調達手段があるのと比べれば、中小企業の場合はかなり限られています。しかも、日本の商習慣では売掛金や買掛金が発生する「後払い」の取引が中心です。

    商品やサービスを販売してもその代金をすぐには受け取れず、売掛金を回収する前に買掛金を支払いが発生してしまうケースも少なくありませんでした。とはいえ、これまで金融機関が中小企業向けに行ってきた融資の多くは、不動産を担保とすることを前提としたものでした。その担保価値は不動産市場の推移次第で変動しますし、めぼしい資産を保有していない企業は資金調達に苦労していたのが実情だったのです。

    また、経営が赤字の会社は融資のハードルが高く、スムーズに資金調達できない課題もありました。

    そこで、経済産業省は、中小企業や個人事業主に対し、融資以外の手段でも資金を調達しやすい環境を整えようと、売掛債権の利用を促進しているのです。売掛債権を活用するファクタリングなど、融資以外の資金調達の選択肢が増えています。

    法改正により譲渡制限特約付き債権の譲渡も可能に

    2020年4月1日に民法の債権法が改正され、譲渡制限特約が撤廃されました。法改正前は譲渡制限特約を付けることで、第三者に債権を譲渡することを無効にすることができました。改正後は、債権譲渡を禁止する特約が付けられた契約であっても、譲渡できるようになりました。

    さらに、中小企業が大手企業の下請けとなるケースが多いことから、業務委託に関する基本契約を結ぶ際に、次のような趣旨の事項を盛り込むことが「努力義務」として定められました。

    • 「売掛債権」の譲渡を阻害せず、円滑に進むようにすること
    • 「債権譲渡禁止特約」解除の申し出があった場合はその意向を尊重すること
    • 下請事業者から要請があれば、債権譲渡を適切に承諾するように努めること

    中小の下請事業者は元請けである大手に気兼ねしたり、冒頭でも触れた風評被害を気にしたりして、売掛債権を売却して資金を調達したくても踏み切れないというケースが多々存在しました。上記のような「努力義務」を通じて、元請けからの無言のプレッシャーを緩和させることを狙っているようです。

    売掛債権を活用した資金調達方法は主に2つ

    国が推奨する「売掛債権」を活用した資金調達方法は、主に以下の2つです。

    • ABL(アセット・ベースト・レンディング:売掛債権担保融資)
    • ファクタリング

    ABLとは、「売掛債権」を担保にして受けられる融資です。その他、在庫や機械・設備なども担保に充てられます。

    一方、ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に売却して現金化するという資金調達方法です。融資のように負債比率を高めてバランスシート(B/S:貸借対照表)を悪化させることもなく、審査も迅速なので、中小企業や個人事業主の短期的な資金調達にはぴったりの手段だと言えるでしょう。

    また、ファクタリングでは、「2社間ファクタリング」と呼ばれるサービスが利用できます。2社間ファクタリングは、サービスの利用者(債権者)とファクタリング会社のみで行う取引です。売掛先から承認を得る必要がないため、売掛先にファクタリングの利用を知られることがありません。

    また、売掛先が取引に介入しないことから、その分スピーディーに資金を調達できるのもメリットです。ファクタリングサービスによっては、即日で資金調達できるものもあります。

    「売掛先に承諾を得ずに、売掛債権を売却することは違法でないのか」について気になる方は、以下の記事を参考にしてください。

    ファクタリングが違法ではない法的根拠を解説!違法なファクタリングを判別するためのポイントとは?

    ファクタリングは経済産業省が推奨する資金調達方法!上手に活用して資金繰りを改善しよう

    国内の全企業において9割超を占める中小企業では、銀行融資による資金調達が中心となっています。不動産などの担保を持っていなかったり、赤字で苦しんでいたりする場合は、融資を受けられず、資金繰りに窮しているのが実情です。

    そこで経済産業省は、中小企業や個人事業主の資金調達手段を拡充すべく、売掛債権を現金化するファクタリングの活用を推奨しているわけです。融資のような返済義務がなく、スピーディーに資金を調達できるのがファクタリングのメリットです。国内でも続々とファクタリングサービスが展開しており、今後さらに普及していくことが予想されます。

    この記事を書いた人

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