法人税を滞納するリスク|払えないとどうなるのか対処法と合わせて解説
目次
CLOSE企業として事業を営む以上、法人税を納税する義務があります。しかし、資金繰りの悪化などで支払いが困難になったとき、どのような影響があるのか不安に感じる経営者も多いのではないでしょうか。
この記事では、法人税を滞納した場合の影響・リスクと対処法を解説します。経営を続けながら状況を改善するための方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
法人税の滞納が起こり得るケース
法人税の滞納は、必ずしも経営の失敗だけが原因ではありません。
取引先の資金繰り悪化によって売掛金の回収が遅れたり、予期せぬ出費が発生したりして、一時的に資金繰りが悪化することがあります。単純に納付期限を忘れてしまうケースもあるでしょう。
こうした状況に備え、日頃から資金繰り管理を徹底し、緊急時の対策を検討しておくことが重要です。
法人税の滞納による影響・リスク
ここでは、法人税を滞納することで起こり得る影響やリスクを紹介します。
延滞税がかかる
延滞税とは、納付期限を過ぎて納付した場合にかかる税金です。いわば延滞利息のような位置づけで、滞納期間が長くなるほど税負担が大きくなります。
延滞税の計算方法は、「本税額 × 税率 × 延滞日数」で計算されます。税率は以下のとおりです。税負担を重くしないためにも早めの納付を心がけましょう。
納付期限から2ヶ月以内 | 7.3%、もしくは特例基準割合 + 1%(令和6年は2.4%) |
納付期限から2ヶ月超 | 14.6%、もしくは特例基準割合 + 7.3%(令和6年は8.7%) |
参照:延滞税の計算方法|国税庁
税務署から催告が行われる
法人税の支払いが滞っていると、税務署から督促状が送付され、電話、文書、訪問による催告が行われます。
これらは差し押さえに向けた法的手続きの一環であり、放置すれば財産調査や差し押さえといった、より強制的な措置へと進展していきます。
企業の信用力が大きく低下する
取引先や金融機関に法人税の滞納が知られると、企業の信用力を大きく損ねます。
預金や売掛金が差し押さえられた場合、その事実が取引先に伝わり、取引関係の見直しや解消につながることも。一度失った信用を取り戻すのは容易ではありません。
銀行融資が困難になる
金融機関は融資審査の際、納税状況を審査項目としてチェックしています。
法人税の滞納は、金融機関側にマイナスなイメージを与え、新規融資はもちろん、既存の融資枠の維持も難しくなります。事業拡大や運転資金の調達に支障をきたす事態となりかねません。
財産の差し押さえにより事業継続が危うくなる
滞納が続くと、預金や売掛金、事業用の設備など、法人名義の財産が差し押さえられます。
事業継続に必要な財産まで差し押さえられると、営業が続けられなくなり、最悪の場合、事業の継続自体が危ぶまれる事態に発展します。
法人税の滞納から差し押さえまでの流れ
ここでは、法人税の滞納から差し押さえまでの流れを順を追って解説します。
督促状が届く
まず納付期限を過ぎた場合に督促状が届きます。督促状は、滞納している税金の支払いを促す文書です。督促しても納付や連絡がない場合、電話や訪問の勧告が行われます。
差し押さえ予告通知書が届く
督促状や催告による納付の呼びかけに応じない場合、差し押さえ予告通知書が送付されます。これは財産の差し押さえを行う前の最後の警告です。この段階で納付や分割納付の相談に応じないと、具体的な差し押さえ手続きへと移行していきます。
差押えのための財産調査が実施される
差し押さえのために、滞納している企業がどのような財産を保有しているか、税務署による調査が行われます。
財産調査でチェックされるのは、預貯金、売掛金、不動産、在庫、有価証券など換価価値のある資産です。差し押さえをすることで、法人税を回収できる財産の有無や、その資産価値を見極めるのが目的です。
財産の差し押さえが執行される
督促状や催告による納付の呼びかけに応じない場合は、いよいよ財産の差し押さえが執行されます。
なお税務署など機関は、裁判所を通さず直接差し押さえできる権限を有しています。法律上では、督促状が送付されてから10日以内に納付がない場合は、税務署が直ちに差し押さえが可能となります。
予告なしで差し押さえが行われることもあるため、注意しましょう。
また、この10日以内というのは、督促状が届いてから10日以内ではありません。督促状を発送してから10日以内なので、早めの対応が必要です。
差押えられた財産の換価・配当が行われる
換価とは、差し押さえた財産を金銭に換える手続きです。
差し押さえられた財産は、公売や入札などの方法で強制的に売却され、滞納税金の支払いに充てられることになります。不動産の場合は公売、動産は市場売却や各種オークションなどの方法での売却が一般的です。
法人税を払えない場合の対処法
法人税を払えないといって、そのまま放置しておくのはいけません。むしろ、早期に対策を講じることで、状況を改善できる可能性は十分にあります。ここでは、法人税を払えない場合の対処法を紹介します。
税務署に連絡・相談する
支払いが難しいとわかった時点で、税務署に相談しましょう。税務署も一方的な取り立てを目的としているわけではなく、実情や払う意思を伝えることで、相談に応じてくれます。
資金繰りが厳しい理由や今後の収支見通しを具体的に説明し、分割納付などの相談をしましょう。
納税・換価の猶予の申請を検討する
税務署に相談すれば、納税の猶予や換価の猶予といった制度を利用できる可能性があります。
納税の猶予とは、一時的な資金不足で納期限までに納付が困難な場合に、最大1年間の納付猶予が認められる制度です。災害や事業の休止、著しい損失など、やむを得ない理由がある場合に申請が可能です。
換価の猶予とは、差し押さえた財産を換価する手続きを一定期間待ってもらえる制度です。申請が認められれば最大1年間の猶予を受けられ、その間の延滞税も軽減されます。
売掛金を保有している場合は「ファクタリング」を活用するのも一つの手
「売上の目処は立っているのに、入金が間に合わない」「売掛金はあるけど、手元資金が足りない」という企業は少なくありません。そんな場合に検討したいのが、ファクタリングです。
ファクタリングとは、期日前の売掛金を早期に売却できるサービスです。「Payなび」であれば、最短30分の審査、最短60分での資金化が可能です。さらに、複数のファクタリング会社に一括で申し込めるため、自社にあった条件で取引できます。
赤字や債務超過、支払い遅延中の企業でも利用できるため、法人税の納付資金確保の手段として検討してみてください。
法人税の滞納を防ぐために計画的な資金繰りを
法人税を滞納すると、延滞税がかかったり、督促や財産の差し押さえなど行政処分を受けたりなど、企業の存続に関わります。
「今は支払いが厳しい」と一人で悩みを抱え込まず、まずは税務署や税理士に相談したり、各種猶予制度の活用を検討しましょう。
また売掛金をお持ちの企業は、「Payなび」のようなファクタリングの活用も効果的です。早め早めの対策で、計画的な資金繰りを行っていきましょう。
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