法人の確定申告の方法は?申告の流れや提出書類、期限を解説
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CLOSE法人の確定申告は、個人事業主に比べて取引件数が多く提出書類も多いため、申告時期が近くなると不安になる事業主もいるのではないでしょうか?この記事では、法人で申告する税金の種類や申告期限、申告書類、手続きの流れを解説します。
法人の確定申告の流れを理解して事前に準備できることを済ませておけば、落ち着いて申告業務に専念できるでしょう。ぜひ最後までお読みください。
法人は確定申告が義務付けられている
法人の確定申告とは、年度における納税額を計算して各所轄機関に申告し、納税する手続きのことです。
法人は会社法にしたがって事業年度ごとに決算を行い、決算書を作成しなければなりません。作成した決算書などをもとに算出した納税額を、都道府県税事務所や所轄税務署に申告、納税します。
法人が行う確定申告の種類
法人が確定申告をする税金は、法人税、消費税、法人事業税、法人住民税の4つです。これらを総称して「法人税等」と言います。各税金の特徴や算出方法について見ていきましょう。
法人税
法人税は、法人の企業活動によって得られた利益に課される税金で、益金から損金を引いた所得金額に税率を乗じて計算をします。
益金とは商品・製品を販売したときの売上収入や土地・建物の売却収入などで、損金とは売上原価や販売費といった費用や、災害などの損失にあたるものです。
実際は算出した会計上の収益や費用をもとに税務調整を行って益金と損金を計算し、所得金額を計算します。
消費税
消費税は、すべての商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対してかかる税金です。
消費税は製品やサービスを売ったときに顧客から受け取った消費税から、原材料を仕入れるときに支払った消費税を差し引いた金額を納税します。
このように消費税は、幅広い取引に課されるため、販売、生産、流通などの各取引段階で、二重三重に税がかかってしまう、税の累積が生じない仕組みがとられています。
法人事業税
法人の事業に課される税金で、法人の事業所がある各都道府県に納税します。
法人が事業活動をするにあたり、地方団体の各種行政サービスを利用することから、サービスを維持するために必要な経費を分担すべきという考えに基づいて、課税される税金です。
資本金1億円超の普通法人は、付加価値額に応じた付加価値割、資本金に応じた資本割、所得に応じた所得割が課され、1億円未満の普通法人等は所得割のみ課されます。
法人住民税
法人住民税は、法人が事業所を置く地方自治体に納める税金です。都道府県民税と市町村民税があり、事業所が所在する都道府県や市町村にそれぞれ納税します。課税方式は、従業員数や資本器楽に応じて定額が課される均等割と、法人税額に応じて課される法人税割があります。
法人の確定申告の申告期限
法人は個人事業主の確定申告のように、決まった時期が設けられているわけではありません。
法人の場合の確定申告期限は、特別な届出をしていない限り、法人税、消費税、法人住民税、法人事業税いずれも事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。土日祝日にあたる場合は、その翌日が申告期限となります。
法人が確定申告をするときの提出書類
法人が確定申告をするときの提出書類は、税金の種類によって異なります。主な必要書類のうち主なものを、税金の種類ごとに紹介します。
【法人税】
- 法人税申告書及び地方法人税申告書(各種別表)
- 適用額明細書(必要に応じて)
- 法人事業概況説明書
- 勘定科目内訳明細書
- 決算報告書
【消費税】
消費税は一般課税(本則課税)か、簡易課税かで必要書類が異なります。一般課税とは、実際の売上や経費から納付額を計算する方法です。
また簡易課税とは、業種ごとに定められた「みなし仕入れ率」をかけたものを、支払いにかかった消費税とみなして計算する方法を指します。
<一般課税>
- 消費税及び地方消費税の確定申告書(一般用)
- 付表2または付表1および付表2-(2)
- 消費税の還付申告に関する明細書(還付申告の場合)
<簡易課税>
- 消費税及び地方消費税の確定申告書(簡易課税用)
- 付表5または付表4および付表5-(2)
【法人事業税】
- 法人事業税の申告書(第6号様式)
- 別表(必要な場合のみ)
【法人住民税】
<法人都道府県民税>
- 都道府県民税の申告書(第6号様式)
- 別表(必要な場合のみ)
<法人市町村民税>
- 市町村民税の申告書(第20号様式)
- 別表(必要な場合のみ)
法人の確定申告の流れ
法人の確定申告は以下の流れで進めていきます。
- 当期の取引をすべて記帳する
- 決算書を作成する
- 申告書を提出する
- 提出書類を保存する
各工程について詳しく紹介します。
当期の取引をすべて記帳する
当期の取引に漏れがないか確認をして、すべての記帳を完了させます。記帳が終わったら、帳簿上のデータと実際の残高を照らし合わせ、相違がないかを確認しましょう。
事業年度をまたぐ取引もあるため、入金や支払い時期をもとに、必要があれば帳簿を修正します。また棚卸資産の残高を確認するために、実際の在庫を点検や売上原価の計算、固定資産の減価償却も行います。
決算期間際にまとめて記帳をすると、業務が膨大になりミスが起こりやすくなります。日頃から、取引があればすみやかに記帳しておくことが大切です。
決算書を作成する
当期の取引をすべて正確に記帳したことを確認したら、決算書を作成に取り掛かります。作成が必要な決算書は以下の通りです。
- 賃借対照表
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書
- 販売費および一般管理費の明細
- 個別注記表
- 事業概況説明書
申告書を提出して納税する
作成した決算書をもとに各種税金の申告書を作成し、納税まで済ませましょう。申告先と納税先は法人税と消費税が所轄の税務署、法人事業税は都道府県税事務所、法人住民税は都道府県民税が都道府県税事務所、市町村民税が市町村役場です。
各税金はさまざまな方法で納税が可能です。
【法人税と消費税の納付方法】
- 口座振替
- ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)
- インターネットバンキング
- クレジットカード
- スマホアプリ
- コンビニでQRコード納付
- 現金
【法人事業税と法人住民税の納税方法】
納税方法は自治体によって異なります。ここでは東京都の事例を紹介します。
- スマートフォン決済アプリによる(バーコード、QR決済)
- Pay-easy(ペイジー)
- クレジットカード
- eLTAX電子納税
- 口座振替
- 窓口での納付
提出書類を保存する
賃借対照表や損益計算書は、税法上は原則7年、会社法上は10年保管が必要です。過去の申告で調査があったときに、書類を保存していないと当時適用された所得控除が認められず、追徴課税が発生する場合があるため、必ず定められた期間は保管しておきましょう。
税務申告書や、税務届出書は保存期間の定めはありませんが、まれに業務で納税額を確認したい場面もありますので、念のため保管しておくことをおすすめします。
まとめ
法人は会社法にしたがって事業年度ごとに決算書を作成し、それをもとに納税額を申告、納税しなければなりません。法人は法人税、消費税、法人事業税、法人住民税があり、申告期限は事業年度終了の翌日から2ヶ月以内となっています。
法人は取引件数も多く、どの税金も複数の書類が必要です。正確な申告をするためにも、日頃から取引ごとにすみやかに記帳を済ませる、帳簿上のデータと残高を確認しておくなど、余裕を持ったスケジュールを心がけましょう。
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