経理業務を効率化する6つの方法とは?メリットや具体的な手順も解説
目次
CLOSE経理業務は、日々の取引記録から決算処理、税務申告まで、企業経営に欠かせない重要な仕事です。しかし、手作業での入力や紙の書類管理など、効率化の余地が残されている企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、経理業務を効率化する6つの方法と、具体的な手順などを解説します。経理業務に課題を感じている経営者や経理担当者は、ぜひ参考にしてください。
経理業務とは
経理業務とは、企業の日々の取引を記録し、財務状況を把握・管理する業務です。取引の記帳から決算書の作成、税務申告まで、幅広い業務を担当します。具体的には以下のような業務内容が含まれています。
- 日次業務:取引の記帳、入出金管理、請求書・領収書の整理
- 月次業務:月次決算、試算表作成、給与計算、税金の納付
- 年次業務:決算書作成、税務申告、財務分析
- その他:資金繰り管理、予算管理、経営分析資料の作成
このように経理業務は幅広く、企業の財務状況を正確に把握し、適切な経営判断を支援する重要な役割を担っています。単なる数字の記録だけでなく、経営戦略の立案や将来の資金計画にも関わる、企業経営の要となる業務といえるでしょう。
経理業務の課題
多くの企業では、経理業務をまだ手作業で行っていたり、古いシステムを使い続けていたりと、デジタル化が遅れているのが現状です。
紙の請求書や領収書の処理、手作業での転記作業など、時間と手間のかかる業務が残っているため、担当者の負担が大きくなっています。
また、中小企業に関しては、資金繰りに関する課題を抱えているケースが多く見られます。売掛金の回収や支払いのタイミング管理が煩雑で、キャッシュフローの把握が難しいためです。
さらに、経理担当者が少ないため、急な欠勤や退職時の業務引継ぎにも課題を感じている企業も少なくありません。こうした状況を改善するには、業務の効率化やデジタル化の推進が欠かせないでしょう。
経理業務を効率化するメリット4つ
ここでは、経理業務を効率化するメリットを4つ紹介します。
経理業務の時間を短縮できる
経理業務を効率化する大きなメリットは、経理業務の時間を短縮できることです。
先程紹介したように、経理業務は、様々な経費精算や請求書の処理、仕訳入力など定型的な作業が多く、手作業で行うと相当な時間がかかります。各種申告などの期限もあるため、時間との戦いになりがちな業務です。
経理業務を効率化すれば、請求書のデータ化や仕訳の自動化により、作業時間を大幅に削減できます。
例えば、経費精算システムを導入すれば、申請から承認、データ入力まで自動化できるため、今まで数時間かかっていた作業が数分で完了するようになります。
経理担当の負担が減る
経理担当者の大きな負担となっているのが、毎月の締め作業や確定申告期の業務集中です。経費精算の確認作業や複数の書類の照合、さらには税務申告のための資料作成など、時期によって膨大な作業量が発生します。
特に月末や年度末は、通常業務に加えて決算関連の作業も重なるため、残業や休日出勤をして処理しなければいけないこともあるでしょう。
経理業務を効率化することで、これらの作業負担を大幅に軽減できます。データの一元管理により必要な書類をすぐに探し出せるようになったり、自動化された処理により確認作業がスムーズにできたりするなど、経理担当の負担を抑えられます。
入力ミスを防止できる
入力ミスを防止できるのも、経理業務を効率化するメリットの一つです。手作業での入力は、どんなに慎重に行っても人為的なミスが起きてしまうこともあるでしょう。繁忙期や疲労が重なる月末は、入力ミスが発生してしまいがちです。
経理業務の効率化により、作業にかかる工数や負荷を減らせれば、経理担当の負担を軽減できるだけでなく、ミスの発生も防げます。
コア業務に時間を使える
日々の入力作業や経費精算、請求書の処理など、定型的な業務に追われていると、本来注力すべき経営分析や改善提案に時間を割けないことが多いものです。特に人手が限られる中小企業では、日常業務をこなすので精一杯という状況も少なくありません。
経理業務を効率化することで、月次決算の早期化や経営データの分析など、より価値の高い業務に時間を使えるようになります。
経理業務を効率化するための6つの方法
それでは、経理業務を効率化するための方法を6つ見ていきましょう。
1.ペーパーレス化・キャッシュレス化
紙の書類や現金の管理は、経理担当者の負担になっており、ペーパーレス化・キャッシュレス化で効率化を検討したい経理業務の一つです。紙の書類や請求書をデジタル化することで、必要な書類を探す手間を省けます。
また、データの一元管理により、書類の共有や承認作業もスムーズに進められるようになります。印紙代や保管コストを削減できるため、経費面での改善も期待できるでしょう。
さらに、キャッシュレス化することで、現金の受け渡し、釣り銭の確認など、小口現金の管理が不要になるため、経理業務の負担を一部減らすことができます。
2.RPAツール
RPAとはRobotic Process Automationの略称で、RPAツールは、定型的な業務をロボットが自動で行ってくれる仕組みです。人間が行うパソコン操作を再現できるため、単純作業の自動化に最適なツールといえます。
例えば、経理業務のRPAでは、銀行の入出金明細のダウンロードや会計システムへの入力、請求書データの転記、各種資料の作成といった作業を自動化できます。
毎日決まった時間に行う作業や大量のデータを扱う作業は、RPAツールに任せることで大幅な時間短縮が可能です。
3.経費精算システム
経費精算システムとは、経費精算の申請から承認、会計処理までを一元管理できるシステムです。
領収書をスマートフォンで撮影するだけで、データ化と経費計上が完了します。承認フローもオンラインで完結するため、書類の受け渡しや確認作業の手間が大幅に削減できるでしょう。
4.クラウド会計ソフト
クラウド会計とは、インターネット経由で利用できる会計ソフトです。インターネット環境さえあれば、場所を問わず経理業務ができるようになります。領収書や請求書をアップロードすると、自動で仕訳を行ってくれます。
また、法令や税制の改正があった際は、自動でバージョンアップされるため、利用者側でアップデート作業を行う必要がありません。常に最新の制度に対応した状態での処理が可能です。
5.経理業務改善コンサルティング
経理業務改善コンサルティングとは、専門家の視点から現状の業務フローを分析し、改善策を提案してもらえるサービスです。
長年同じやり方を続けていたり、特定の担当者に業務が集中していたりすると、経理業務がブラックボックス化していたりするケースもあります。
経理業務改善コンサルティングに依頼することで、自社だけでは気づきにくい非効率な作業や改善すべきポイントを発見し、具体的な解決策を見つけることができます。
6.アウトソーシング・代行サービス
経理業務の一部、または全部を、アウトソーシング・代行サービスなど外部に委託するのも一つの方法です。給与計算や請求書発行、記帳代行など、定型的な業務を専門家に任せることで、社内の経理担当者の負担を減らせます。
「カード払いくん」では、請求書の支払い業務を効率化できます。銀行振込で支払う予定の請求書をカードで決済できるため、支払いまでの猶予が最大60日間確保できます。
また、取引先には通常の振込と同じように見えるため、資金繰り改善を図りたい企業におすすめです。支払い業務も一本化できるため、経理担当者の業務負担も軽減できます。
経理業務の効率化に取り組む際の具体的な手順
ここでは、経理業務の効率化に取り組む際の具体的な手順を紹介します。
経理業務のフローを整理する
経理業務の効率化の第一歩は、現在の業務フローを可視化することです。日々の経費精算から月次決算、年間の税務申告まで、すべての業務を紙などに書き出してみましょう。
いつ、誰が、どのような作業を行っているのか、また、承認フローはどうなっているのかなど、できるだけ詳しく整理します。無駄な工程や重複している作業が見えてくるはずです。
効率化できる経理業務がないかを洗い出す
業務フローが整理できたら、次は効率化できる作業を探します。例えば、以下のような業務が候補として挙げられるでしょう。
- 手作業での入力が多い業務
- 紙の書類を大量に扱う業務
- 承認に時間がかかっている業務
また、特定の担当者しか対応できない作業や、繁忙期に負担が集中する業務なども、改善が必要な候補です。具体的な数値で作業時間や工数を把握すると、優先順位をつけやすくなります。
効率化の方針を決める
効率化の対象となる業務が明確になったら、具体的な改善方針を決めていきましょう。社内ルールで定められた承認フローが複雑になっていないか見直したり、チェック項目を本当に必要なものに絞ったりすることから始めましょう。
また、複雑な集計作業はマクロを活用して簡略化したり、部署ごとにバラバラだった請求書フォーマットを統一して標準化したりすることで、作業効率を上げることができます。
さらに、紙の請求書処理が負担になっているなら、請求書のデータ化やクラウドシステムの導入を検討するのもよいでしょう。
経理業務の効率化に取り組む際の注意点
経理業務を効率化を進める際は、いくつかの注意点があります。以下で具体的なポイントを見ていきましょう。
経理担当の意見をしっかりヒアリングする
経理担当者が日々感じている課題や改善したい点を丁寧にヒアリングすることが大切です。「使いづらい」「以前の方が良かった」といった声が上がってからでは遅すぎます。
現場の声を聞かずにツールを選んでしまうと、経理担当者が使いにくいシステムを導入してしまったり、既存の業務フローと合わないツールを選んでしまったりする可能性があります。
結果として、現場が本当に困っている部分が解決できず、むしろ業務が非効率になってしまうこともあるでしょう。経理担当者の業務内容や作業手順を把握したうえで、本当に必要な効率化は何かを見極めることが大切です。
自社のペースに合わせて経理業務を効率化する
一度に大きな変更を行うのではなく、できるところから段階的に効率化を進めることが重要です。特に紙の書類を扱う業務は、関係部署や取引先との調整も必要になるため、慎重に進める必要があります。
急に全てをデジタル化して混乱を招いたり、紙の帳票が必要な取引先への対応ができなくなったりするケースも少なくありません。年度末や決算期など、繁忙期を避けて導入時期を検討したいところです。
自社の現状を把握し、優先順位をつけながら無理のないペースで効率化を進めていきましょう。
経理業務を効率化して、負担を減らしましょう
経理業務の効率化は、担当者の負担軽減だけでなく、企業の成長にも不可欠な取り組みです。
ペーパーレス化やシステム導入、外部サービスの活用など、さまざまな方法があります。自社の課題や規模に合わせて適切な方法を選び、一つずつ改善を進めていきましょう。