投稿日:2024.12.06 最終更新日:2024.12.06

会社が赤字だとどうなる?潰れない理由や税金面のメリットを解説

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    会社が赤字になると必ず倒産するのでしょうか?実は、日本の企業の約7割が赤字決算と言われており、必ずしも赤字=倒産ではないのです。むしろ、税金面でメリットがあるため、意図的に赤字決算を行う企業も一定数います。

    この記事では、赤字企業が存続できる理由と、赤字経営のメリット・デメリット、脱却方法、資金調達方法を紹介します。

    そもそも赤字経営・赤字決算とは

    赤字経営・赤字決算とは、事業活動において収入よりも支出が上回っている状態です。法人の場合、決算月までの1年間で収支を計算し、利益が出れば黒字、損失が出れば赤字となります。

    赤字決算というと、「会社が危ない」というイメージを持たれがちですが、必ずしもそうとは限りません。手元の資金が十分にあれば、一時的な赤字でも問題なく事業を継続できます。

    また、設備投資による一時的な赤字なのか、構造的な赤字なのかによっても、その深刻さは大きく異なります。

    なぜ赤字経営の会社は潰れないのか?

    「赤字経営なのに、なんであの会社潰れないのだろう」と不思議に思われる方も多いでしょう。赤字経営=倒産というイメージがありますが、実際はそうとは限りません。以下で、赤字でも会社が存続できる理由を解説します。

    手持ち資金があるため

    過去の利益から蓄積した現預金や有価証券など、十分な手持ち資金を保有している企業は、一時的な赤字でも事業を継続できます。たとえば、1億円の現預金がある会社が、年間1,000万円の赤字であれば、理論上は10年間事業を維持できます。

    ただし、手持ち資金は徐々に減少していくため、早めの経営改善が必要です。

    金融機関から継続的な借入ができるため

    メインバンクをはじめとする金融機関との信頼関係が構築できている企業は、赤字でも継続的な融資を受けられることがあります。

    事業計画が具体的で実現可能性が高い場合や、経営改善の取り組みが評価される場合は、運転資金の調達が可能です。

    親会社からの支援を受けているため

    グループ会社の一員である場合、親会社からの資金援助や連結会計により事業を継続できます。

    子会社が持つ人材やノウハウ、事業基盤が親会社にとって重要な経営資源である場合、赤字を補填して存続をサポートすることは珍しいことではありません。

    不動産などの資産が豊富にあるため

    土地や建物、機械設備など価値のある資産を多く保有している企業は、それらを担保に資金調達ができます。

    また、遊休資産の売却や、セール&リースバックなどの手法で資金を確保できるため、赤字でも事業継続の選択肢が広がります。

    一時的な赤字であるため

    新規事業への投資や設備投資、一時的な損失計上などによる赤字の場合、将来的な黒字化が見込めれば、金融機関も支援を継続します。

    また、事業の再構築や業態転換の過程での一時的な赤字であれば、それを乗り越えて業績を回復させることも可能です。

    あえて赤字決算にする会社の戦略・メリットとは?

    戦略的に赤字決算を選択する企業も存在します。中小企業では、税負担の軽減や将来の節税対策として、計画的に赤字を計上するケースがあります。以下で、その具体的なメリットを見ていきましょう。

    法人税を抑えるため

    赤字決算のメリットは法人税を抑えられる点です。会社が黒字の場合、利益に対して法人税などが課税されます。一方赤字決算の場合、法人住民税の均等割(最低7万円)以外の法人税は原則として課税されません。

    多くの企業では、役員報酬を調整したり、経費の計上時期を工夫したりして、税負担を抑えています。

    欠損金を繰越・相殺するため

    赤字決算で生じた欠損金は、最大10年間繰り越すことができます。繰り越した赤字は将来の黒字と相殺して税負担を減らすことが可能です。

    たとえば、今期1,000万円の赤字を出しても、3年後に1,000万円の黒字が出れば、相殺して課税対象をゼロにできます。

    法人税の還付を受けるため

    法人税の還付とは、赤字決算となった企業が前年度に納付した法人税の払い戻しを受けられる制度です。資本金1億円以下の中小企業、かつ青色申告を行っている企業が対象です。還付金額は、以下の方式で算出します。

    還付金額 = 前期の法人税額 × (今期の欠損金額 ÷ 前期の所得金額)

    たとえば、前期の所得金額が1,000万円、納付した法人税が200万円、今期で欠損金額500万円が生じた場合の還付金額は以下のとおりです。

    還付金額 = 200万円 × (500万円 ÷ 1,000万円) = 100万円

    もちろん会社が赤字だとデメリットもある

    当然、会社が赤字であるデメリットもあります。長期化すると、資金調達や取引関係など、事業活動の様々な場面で支障をきたすリスクもあるため注意が必要です。以下で詳しく解説します。

    金融機関からの信用が下がる

    赤字経営が続くと、金融機関からの信用力が低下します。信用が下がると、新規融資が受けづらくなったり、既存の借入の金利が引き上げられたりします。

    取引先との関係が悪化する

    赤字経営は取引先との関係にも影響を与えかねません。支払いの遅延リスクを懸念され、取引条件の見直しを迫られたり、新規取引を断られたりすることも。また、業界内での評判が下がり、商談や契約の機会を逃すこともあります。

    採用面でマイナスなイメージを与えてしまう

    赤字経営は、採用面でマイナスなイメージを与えてしまうでしょう。赤字の企業は就職活動生からは「将来性がない」「給与が下がるかも」といった不安を持たれがちです。

    また、優秀な人材の流出リスクも高まり、会社の競争力低下につながる可能性があります。

    赤字経営の種類

    赤字には様々な種類があります。決算書の段階別の利益を見ることで、どの部分に問題があるのかを把握することが可能です。それぞれの赤字の特徴を見ていきましょう。

    売上総利益の赤字

    売上総利益は、粗利とも呼ばれ、売上から仕入原価を差し引いた金額です。売上よりも商品原価が多くかかっている状態で、商品やサービスを販売すればするほど、損失が膨らんでしまいます。

    原因としては、過度な値引き販売や仕入れコストの高騰などが考えられます。販売価格や仕入先、商品構成などを見直すなどの対策を検討しましょう。

    営業利益の赤字

    営業利益は、売上総利益から人件費や家賃などの販管費を差し引いた金額です。営業利益の赤字は、本業での収益力が不足している状態です。固定費の削減や業務効率化など、経営体制の見直しが求められます。

    経常利益の赤字

    経常利益は、営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いた利益です。企業全体の収益力を示す指標です。営業外収益は受取利息や配当金など、営業外費用は支払利息や手形売却損などが該当します。

    経常利益の赤字は、本業での収益が悪化していることに加え、借入金の利息負担や投資損失などが重なった状態です。既存の借入や投資方針を見直すなどの対策が必要です。

    当期純利益の赤字

    当期純利益は、経常利益に特別利益を加え、特別損失を差し引いた最終的な利益です。当期純利益の赤字は、一時的な損失が原因の場合もあれば、事業全体の収益力低下が原因の場合もあります。

    また、当期純利益が黒字であっても経営状態が良いとは限りません。たとえば、不動産売却益などの一時的な利益で黒字になっているケースもあります。

    そのため原因を把握し、一時的な要因なのか、構造的な問題なのかを見極めることが重要です。

    赤字企業が支払う税金と免除される税金

    赤字企業でも支払いが必要な税金と、免除される税金があります。以下で具体的な税金の種類を紹介します。

    <全額納税が必要な税金>

    • 消費税
    • 源泉所得税
    • 印紙税
    • 登録免許税
    • 固定資産税
    • 自動車税

    <一部納税が必要な税金>

    • 法人住民税

    <納税が免除される税金>

    • 法人税
    • 地方法人税
    • 法人事業税
    • 特別法人事業税

    法人が支払う税金 | 種類や税率、計算方法を解説

    【黒字化へ】赤字経営からの脱却方法

    赤字経営から抜け出すには、売上を伸ばすだけでなく、資金の流れや経費の見直しなど、複数の視点からの改善が必要です。以下では、赤字経営からの脱却するための3つの方法を解説します。

    キャッシュフローを見直す

    資金繰りを改善するには、お金の出入りを見直す必要があります。売掛金の回収期間を60日から45日に短縮したり、支払いサイトを30日から45日に延長したりするなど、運転資金の余裕を生み出しましょう。

    また、入金と支払いのタイミングを調整し、一時的な資金不足を防ぐことも重要です。

    経費を見直して可能であれば削減する

    経費の見直しは即効性の高い改善策です。家賃や人件費、光熱費など、毎月発生する経費を洗い出し、本当に必要な支出なのか精査します。外注している業務の内製化や、業務効率化によるコスト削減なども検討しましょう。

    ただし、必要以上に経費を削減してしまうと、事業の質の低下を招くリスクもあるため注意が必要です。

    在庫を管理して資金効率を上げる

    在庫を抱えすぎると保管コストを増加させるだけでなく、キャッシュフローの悪化にもつながりかねません。

    適正在庫量を設定して発注の頻度や量を見直せば、資金効率を改善できます。また、長期滞留している在庫は、値引き販売してでも現金化することを検討しましょう。

    赤字でも資金調達できる方法

    ここでは、赤字でも資金調達できる方法を紹介します。

    ファクタリング

    ファクタリングは、売掛金を早期に現金化できるサービスです。会社が赤字であっても、売掛先の信用力があれば利用できます。審査は売掛先の支払能力が重視され、自社の決算内容はあまり問われません。

    赤字経営時におけるファクタリングの利用について以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

    ファクタリングが赤字決算でも資金調達できるのはなぜ?理由や活用するメリットを紹介

    ビジネスローン

    ビジネスローンは、事業用途の資金調達に特化した融資サービスです。銀行や消費者金融、信販会社などで提供されており、設備投資や運転資金など、幅広い用途に活用できます。

    銀行のビジネスローンは金利が低めですが、赤字企業への融資には慎重です。一方、消費者金融のビジネスローンであれば、赤字企業でも柔軟な審査で融資を受けられる可能性があります。ただし、金利は銀行より高めです。

    クラウドファンディング

    クラウドファンディングは、インターネットを通じて多数の人から資金を募る調達方法です。事業のアイデアや将来性で支援を募るため、赤字でも調達が可能です。

    ただし、目標金額に達しないと資金を得られないケースもあります。支援してもらうためには、プロジェクトの魅力を分かりやすく発信し、リターン(特典)を工夫する必要があります。

    経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)

    経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)は、日本政策金融公庫による公的融資です。一時的な業績悪化に対応するための融資で、赤字企業でも利用できます。通常の融資より金利が低く、返済期間も長めに設定されています。

    不動産担保ローン

    不動産を担保にした融資で、赤字企業でも物件の評価額に応じて借入が可能です。担保があることで金利も比較的低めに抑えられます。ただし、返済が滞ると担保物件を失うリスクがあるため、慎重な判断が必要です。

    赤字のメリット・デメリットを把握し、経営状況を冷静に分析しましょう

    赤字経営には、法人税の軽減や欠損金の繰越しなど税務上のメリットがある一方で、金融機関からの信用低下や取引先との関係悪化といったデメリットもあります。
    現状から自社の赤字の種類を正しく理解し、取るべき対策を見極めることが重要です。必要に応じて専門家のアドバイスを受けながら、持続可能な経営を目指していきましょう。

    この記事を書いた人

    Payなび運営チーム

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