2023.04.05

インフレ時代に心配される黒字倒産!最悪の事態を回避するための策とは?

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    2022年の企業倒産が3年ぶりに増加し、破綻の数は13年ぶりの増加幅に!

    帝国データバンクが公開した「全国企業倒産集計2022年報」によれば、2022年の年間倒産件数は前年を361件も上回り、2019年以来3年ぶりの増加となったそうです。倒産件数は6376件に達し、その中でも債権者に債務を弁済できない破産状態に陥ったケースは300件以上も増加し、リーマン・ショック直後の2009年以来13年ぶりの増加幅を記録したうえ、負債総額は5年ぶりに2兆円台を記録しました。

    コロナ禍では飲食をはじめとして様々な業界が業績の悪化を余儀なくされましたが、政府の手厚い支援策によって、倒産を免れる企業が少なくありませんでした。そして、コロナの感染拡大がピークアウトして経済活動が本格的に再開されるのに伴い、全般的に業績の回復が続くことが期待されたのですが、意外な“副反応”が待ち受けていました。

    世界的に経済活動がいっせいに正常化されていったことから、様々な方面で急激に需要が拡大したうえ、コロナ禍でマヒ気味だった供給網の再始動に手間取っていたことから、需給ギャップと呼ばれる現象が発生しました。

    急増している需要に対し、それに見合う供給が不可能なら、「値段が高くなってもいいから欲しい」という奪い合いが生じ、自然と価格は上昇しやすくなります。つまり、世界的にインフレーション(物価の上昇)の傾向が顕著になっていったのです。

    インフレと円安のダブルパンチで、特に中小・零細企業の経営が急激に悪化

    しかも、インフレの進行を踏まえて2022年3月から米国が金利の引き上げという金融政策を続けたのに対し、日本は依然として金融緩和という真逆の方向性の金融政策を継続していました。その結果、金利が高くなる国の通貨が買われる一方、金利が相対的に低い国の通貨は売られやすいという特性から、為替市場で円安・ドル高が進行しました。

    円安・ドル高とは、ドルに対して円の価値が低下するという現象で、貿易面では輸出が有利になる(値引きしたわけではないのに、ドル建て価格で買う側にとってはお買い得感が高まる)反面、輸入価格は割高になってしまいます。

    つまり、輸入品の価格が上昇するわけです。こうしたことから、世界的な受給ギャップに円安も加わって、日本でも物価の上昇傾向が顕著になってきました。

    当然、物価の上昇はコスト負担増というかたちで、ビジネスにも大きな影響を及ぼすことになります。原材料やエネルギーの価格上昇に伴い、製造業の最終価格や電気・ガス料金などの引き上げが進んできました。

    コスト負担の急激な増加は、特に中小規模の事業者にとって深刻な痛手となってきます。冒頭で触れた帝国データバンクの調査でも、中小零細規模における倒産の増加が目立っていました。

    コスト負担の急増が資金ショートをもたらして黒字倒産も!?

    コスト負担の増加が経営を圧迫し続ければ、現状は利益を計上できている企業であっても、苦しい状況に追いつめられる恐れがあります。いわゆる黒字倒産も現実味を帯びてきます。

    黒字倒産とは、損益計算書においては黒字が計上されているにもかかわらず、外部への支払いに必要な資金が不足することによって、経営が成り立たなくなる状況を意味しています。つまり、いわゆる資金ショート(手元資金の枯渇)が息の根を断つのです。

    仕入れ代金の支払いは売上の回収よりも先になるケースのほうが多く、急激なコスト負担増は手元の資金繰りを悪化させかねません。その結果、黒字が出ているのに経営破綻に追い込まれる企業が相次ぐかもしれないのです。

    そのような憂き目に合わないためにも、多くの企業が始めているのが自社の商品やサービスの値上げです。仕入れコストの増加分を価格に転嫁できれば、利益の目減りを防ぐことが可能となります。

    ただし、顧客の間では値上げを機に競合する商品・サービスに乗り換える動きが表面化する恐れもあります。値上げが売上減少をもたらせば、まさに本末転倒となります。

    言ってみれば、価格転嫁には微妙なサジ加減が必要で、顧客が許容できる範囲内にとどめるべきです。したがって、別の策も粛々と講じておくことが求められてくるでしょう。

    固定費と過剰在庫の削減を粛々と進めて手元資金の確保を!

    手元資金をできるだけ多く確保するための策として挙げられるのは、固定費と過剰在庫の削減です。まず、固定費はコンスタントに負担することになるため、その削減は大きな効果をもたらします。

    特に負担が大きい固定費は、人件費やオフィスの賃貸料、機器、機械のリース代金などでしょう。経理処理や決済、請求代行などのクラウド・サービスを活用すれば、事務作業に充てている人員の削減も可能です。

    また、「多様な働き方の浸透」を方便に、オフィスを縮小・移転してテレワークも導入するのも有効ですし、勤怠管理もクラウド・サービスでカバーできます。2023年秋からインボイス制度がスタートすることも念頭に、ペーパーレス化(デジタルデータでの保存・管理)を推進し、事務用品代やリース機器仕様の削減を図るのも一考でしょう。

    並行して過剰在庫も削減すれば、管理費などの負担も抑えられ、手元資金の確保に結びつきます。在庫の管理にも最新のテクノロジーをリーズナブルなコスト負担で活用すれば、過剰・不足のどちらも回避しながら、機会損失の発生を防げるでしょう。

    まとめ:先行き不透明な今、固定人過剰在庫の削減で守りを!

    インフレはなかなか収束する気配を見せず、コスト負担の増加が経営に重くのしかかる状況はしばらく続きそうです。冒頭で触れたように、企業の倒産はすでに目立ってきており、今後はさらに増える可能性が考えられます。

    コスト負担増が手元資金の枯渇をもたらし、黒字倒産に陥ってしまうリスクも高まってきています。そのような最悪の結末を回避するためにも、固定費や過剰在庫の削減のように、打つべき手を少しでも早く実行したいところです。

    この記事を書いた人

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