黒字倒産はなぜ起きる?
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CLOSE経営破綻(倒産)とは、手元資金の不足で経営を維持できないこと
一般的に経営破綻とは、期日までに買掛金を支払えなかったり、借入金の返済が滞ったりして、事業の運営を続けられない状態になったことを意味しています。よくニュースなどで「事実状の経営破綻」という表現が用いられますが、それは「6カ月以内に2回の不渡手形が発生する」という事態に陥ったためです。このパターンに陥ると金融機関から取引を停止され、結果的に経営が成り立たなくなります。
最近は表現的にややソフトな印象のある経営破綻という言葉がよく用いられていますが、手元の資金が不足して経営を継続できなくなることは「倒産」とも呼ばれます。奇妙に感じる読者も少なくないかもしれませんが、実は経営が赤字になっていない会社でも倒産することがあります。
いわゆる黒字倒産で、支出よりも収入(売上」のほうが多くて利益が出ているにもかかわらず、経営を続けられなくなるケースが出てきます。いったいなぜ、黒字倒産は発生するのでしょうか?
損益計算書で算出された利益と実際のキャッシュフローにはギャップが!
そもそも黒字とは、損益計算書(P/L)において利益が出ている状態のことで、逆に赤字とは、損失が出ている状態のことを意味します。簿記の世界では利益を黒色、損失を赤色の字で記したことがその由来と言われています。
利益が出ているなら経営は良好のように思われがちですが、それでも倒産してしまうケースが珍しくありません。対照的に、赤字経営が続いていても倒産まで追い込まれない会社も実在しています。
黒字でも経営が成り立たなくなるのは、手元資金が足りなくなるからです。損益計算書には未回収の売上や、未払いの費用、減価償却費なども計上されているため、計算上では利益が生じていても、手元にどの数字と同額の現金が入ってきているとは限りません。
損益計算書において算出された利益と実際のキャッシュフロー(現金の出入り)との間に生じているギャップをきちんと把握できていないと、黒字経営でも支払いや返済に充てる資金が不足し、倒産の危機が迫ることが起こりうるのです。
「掛取引」と「減価償却」が利益と手元資金にギャップをもたらす要因に!
損益計算書に未回収の売上が計上されるのは、ビジネスにおいて「掛取引」という商習慣が一般化しているからです。掛取引とは、商品やサービスを提供後、取引先の経理上のルールに基づく期日にその代金が後払いされるというものです。
たとえば納品して請求書を発行した月の翌月払いというルールだった場合、月次決算の損益計算書においてその代金は売上に計上されます。しかしながら、実際に現金が入ってくるのは翌月で1カ月のタイムラグが生じ、こうしたズレが大きくなるほど実際の資金繰りを把握するのが難しくなります。
また、「減価償却」も損益計算書上の利益と手元資金とのギャップを発生させる一因となってきます。実際には代金を一括で支払って導入した設備や機器であっても、損益計算書においては減価償却を行う(複数の年度に費用を分割して計上する)というのが会計上のルールです。
一括で支払っていれば、手元資金は大きく減少することになります。にもかかわらず、その事業年度に費用として計上できるのは購入額の一部にすぎず、手元資金の実態を反映しない利益が計上される結果を招くわけです。
キャッシュインとキャッシュアウトのタイミングには日頃から留意を!
黒字倒産に追い込まれないためにも日頃から注意しておきたいのは、売掛金の回収と買掛金の支払いのスケジュールです。売掛金が入金されるタイミングと比べて買掛金の支払い期日が目立って短ければ、資金繰りが次第に悪化していっても不思議はありません。
請求書発行から実際の支払いにいたるまでのインターバルが長い取引先からの受注に偏重している場合は、特にキャッシュイン(入金)とキャッシュアウト(出金)の状況に注意を払いたいところです。もっとインターバルが短い取引先を新規開拓することで、黒字倒産リスクを軽減させるのも一考でしょう。
ビジネスでは攻めの経営も必要ですが、手元に入ってくるキャッシュに対して巨額すぎる先行投資などを行った場合も留意すべきです。投資額が大きいと、先に述べたように減価償却によって損益計算書上では利益が出ていても、手元資金が不足している恐れが出てきます。
その点、日頃から手元に潤沢な資金をプールしておくように心掛けていれば、たとえ赤字が続いたとしても、倒産には至らない可能性が高いと言えるでしょう。あるいは、不動産を所有していれば、いざという場合はそれを担保に融資を受けるという手もあります。
さらに、それなりの在庫を抱えておく必要のある業態ですと、その管理の不十分が黒字倒産に結びつく可能性が考えられます。適切な保有量をつかめず、過剰在庫を抱えたままキャッシュインとキャッシュアウトのバランスが乱れてしまうのです。
まとめ:ファクタリングで急な資金繰りの悪化を乗り切るという発想も!
経営破綻(倒産)という結末は、事業を営んでいる人なら誰しも回避したものでしょう。しかも、赤字続きで事態の好転が望めない情勢ならまだしも、黒字が出ている状態でゲームオーバーとなる展開は受け入れがたいはずです。
黒字倒産を招かないためにも、損益計算書上の利益に惑わされず、キャッシュフローの状態を冷静にチェックしておくことが重要となります。キャッシュフロー計算書もきちんと作成して日頃から管理を徹底し、現金不足が生じそうな場合は速やかに資金を工面するように心掛けましょう。
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